SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……だから仕方なくだよ! オレはコイツの保護者に頼まれてるだけ! 別に好きで一緒に帰ってる訳じゃねーし、それに、」
「「「 それに? 」」」
みんなが声がきれいに合わさる。
「オレが好きなのは……純日本人だ。こいつは、ちがうだろ 」
「「「 へええ~!! 」」」
パアッとみんなの顔が明るくなった。
「……ほら帰るぞ!」
少し目を泳がせて、透があたしの腕をひく。
そのまま逃げるように教室を出た。
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——帰り道。
何故か透がイライラしてる。
「……透?」
「 なんだよ 」
ほら、やっぱり不機嫌だ。
「 もう送り迎え、しなくていいよ 」
"別に好きで一緒に帰ってる訳じゃない"
さっきの言葉を思い出して、あたしは透にそう言った。
「……なんでだよ 」
透はさらに不機嫌になる。
……?
「 だってさっき、仕方なくって。透、怒ってるし。それに、あたし一人で大丈夫だし 」
「…………」
「だからもうーー」
「真に受けんなよ」
前を向いたまま透が言う。
「……え? 」
「さっきの、オレの言った事。あんま真に受けんな 」
「……?」
「怒ってるとしたら、オレ自身にだ。 ……ったく、まさかこんなにあまのじゃくだったとはな…… 」
透はガシガシと困ったように頭をかいた。