SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
一樹の長い指が少女の額にふれる。
"……リ、リリリ……"
緑色の光が一樹の手を覆ってゆく。
一樹は目を細めた。さまざまな映像が瞬時に頭の中に入ってくる……
「……っ、」
次第に一樹の表情がみるみる曇る。
"リリリ……リリリ……"
「……っ、」
"リリリリリリリッ……"
「……っ!」
一樹は少女から手を離した。
「……ハア、……ハア、」
手がかすかに震え、息があがっている。
「おい、どうした一樹!」
一ノ瀬はこんな一樹を見た事がない。
いつも涼しげな表情で、何でも器用にこなしてしまう一樹。
そんな一樹が顔をこわばらせ、明らかな動揺を見せている。
「一樹、こいつがお前に何か!」