SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
……いつもそう。
一樹はけして疲れた顔を見せない。
「……たいしたこと、あるよ。 一樹、すごく疲れてる……」
幸い、今あたしのESPは絶好調だ。
一樹が弱ってることぐらい、すぐにセンサーが感知した。
「 わたしは大丈夫ですよ 」
あたしの頭をポンポンとして、一樹はまた何でもないように微笑む。
その笑顔に、あたしはなんだか胸を縛られたような気がした。
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それから、透と一樹も一緒に、あたしはみんなと晩ごはんを食べた。
晩ごはんといっても全部デリバリーだったけど。
黒木は大好きなビールを浴びるように飲み、透にしつこく絡んでて、
ユリは透をかばうように、酔っ払った黒木を怒鳴り、説教し……
一樹はそんなユリをなだめていた。
「……じゃあ、オレ帰ります 」
騒がしい時間が過ぎ、黒木の相手に疲れた様子の透がスッと席を立つ。
「 透くん、いろいろごめんねえ? また遊びに来てね?」
ユリの言葉に、透は軽く会釈をする。
「 じゃあ、また 」
あたしと軽く目を合わせ、透は家に帰って行った。
「もう~本当にイイ子よね~透くんって 」
うっとりしながらユリが言う。
「美空、誠さんの事は気にしなくていいのよ? 透くんの事、本当はどうなの?」
「……どうって?」
「 どう思ってるの? 透くんの事、好きじゃないの?」
……? ……好き?
「 よく、わからない。 ……透は、変だ 」
「もう~、変はナイでしょお~ 」
ユリは残念そうに唇をとがらせた。