SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
————時は流れ現代……
幾重にも重なる、山々に囲まれた霊山の一角。
月の光とは別の、光の軌道上を、ゆるりと回る黒い宝玉。
……と、突然それは軌道を外れた。
《待て! 伯耆坊(ほうきぼう)、我々には大義があるのだぞ!》
「分かってるさ。だけど、まだ時期じゃないだろ!」
《行ってどうする! その血の者でもなければ、さほど神通力もなかろう!》
「じゃあ、ほっとけって言うの? いやだね。大義も結構だが、オレはまず小さな火種から消していきたいんだ!」
《伯耆坊!!!》
宝玉は疾風のごとく飛び立った。
一人の少女のもとに……