SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
……あ、
……その目、知ってる……
……なんだ、そっか……
あたしは分かってしまった。
一樹が何をしようとしているのかを……
「 “ 記憶操作 ” するの?」
あたしはぽつりと言葉をこぼした。
ピタッと一樹の手が止まる。
「 それとも、“ 行動操作 ”?」
「…………」
「 わかるよ一樹。だってカイドウと同じ目してる。あのBlue dollのカイドウと同じ目……」
「……っ!」
我にかえったように一樹はハッと息をのんだ。
( あたしの中の一樹の記憶を消すの? それともあたしが余計な事をしないように暗示をかけるの?)
「…………」
「 でも、ムダだよ 」
あたしは一樹の手をつかんだ。
( だって、しるしが浮かんだら、しるしの力であたしはきっと思い出す。どんな記憶操作だって、あたしは誰も、何も忘れない )
「……っ!」
長い沈黙が続く……
しばらくして、
「……ハア〜、」
一樹は深くため息をついた。
「……まったく、どうしたら分かって頂けるのか……」
一樹はガクッと肩を落とす。
やるせないような、諦めたような、とても切ない悲しい顔……