SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……? 美空さん?」
「どうかしたんスか?」

黙ったままのあたしに二人が言う。


「 あ~、」


あたしは二人に視線を移した。


「……あのさぁ。これ、返してくれない? 」


「「……はい? 」」


「 ないと困る!」


あたしはバス停を指さした。


「……ああ、それっスか?」

「……でもソレは、インテリア担当に聞いてみないと……なあ? 」


二人が顔を見合わせる。

そんな二人にあたしは必死に訴えた。


「 苦しそうなの、お婆ちゃん!」


「「……はい? 」」


「 返さないとお婆ちゃんが! 腰が痛いし重いし心臓発作で、そのうち疲れてみんな死んじゃう!! 」


「「…………」」


ピタッと二人が停止する。


「……お婆ちゃん?」
「……腰が重い? ……心臓発作?」


「「……そのうち…… "憑かれて" ……みんな……死ん……じゃう……??」」


サーッと顔が青くなり、二人がガタガタ震え出す……

そして、


「 ぎゃあ~っ! 婆さんの呪い~っ!」

「 恐え~!! タタリ~ッ!! 呪いのバス停~っ!!!!」


"ガタ! バンッ! ズドドドド……!"


転びながら、二人は一目散に逃げて行った。


"クゥン"

「……なんなの?」


あたしはモコちゃんと顔を合わせた。
< 229 / 795 >

この作品をシェア

pagetop