SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


……モコちゃんが、いない。


「 モコちゃん? 」


あたしはモコちゃんの行方を探る。

すると、さっき感知した家と、モコちゃんの姿が重なってみえた。


……なんだ。


「 良かった。無事に帰ったんだ 」


あたしはホッと胸をなでおろす。


「 何が良かったんだね⁉︎ きみ! 夜中にバス停と散歩して楽しいのかね⁉︎」


……あ、忘れてた。

オマワリさんがジロっとあたしを睨んでいた。


「 さてはきみか? 最近のバス停泥棒は!」


「……え。 ……ちがう 」


「 じゃあ、ここで何をしてたんだね?」


「 バス停、返しに来た 」


「やっぱりそうか! 署まで一緒に来なさい!」


……? ……なんで?

あたしは警察へと連れて行かれた。


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「 きみ、未成年だね? 年は? 国はどこだね? 名前は? 住所は? 電話番号は?」


オマワリさんは厳しい顔で聞いてくる。


「 何故バス停を盗んだのかね?」


「 あたしは返しに来た 」


「 だからその盗んだ理由を聞いとるんじゃないか!」


「 盗んでない。引きずってただけ 」


「 だから! ちゃんと説明しなさい!」


しびれを切らしたようにオマワリさんが怒鳴りつける。


「 説明は苦手なんだ 」

「……きみねえっ!!」


……もう。 一体どうすればいいんだ。


すると、


“ピーッ!”


頭に高い音質が響く。


……あ。

一樹の【 遠距離会話能力 】だ。
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