SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
"シュルルルル!!"
「……っ!」
体のあちこちに黒いモヤがまとわりつく。
振り払えば振り払うほどそれは深く絡みつく……
「……ぐ、はっ……」
焼け付くような痛み……
普段なら感じない痛みが、容赦なくあたしに襲いかかる。
"ジュウウウウッッ!!!"
「 あううぅぅっ!!」
蒸発するようにモヤが体の奥に浸透する。
「……はぁ、ぅぅ、 」
心が、体が、一気に冷え込む。
"オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛~ッ!!"
——ガラガラガラガラッ!!
天井と壁が崩れ落ち、青一色の広い空間が広がった。
"ヒュウン……ヒュン……"
黒いヒモのようなものが、弓なりにたわみながら、空間をジグザグに飛び回っている。
「……はぁ、はぁ、」
……息苦しい……
何か心に引っかかる
"ピチャン……ピチャン……"
水音はますます大きく反響し、脳の中枢を揺さぶった。
「……うう、 」
シミのように広がる嫌悪感と不快感。
"ピチャン……ピチャン……"
……やめて。
"ピチャン、ピチャ……ピチャン……"
……お願いだからもう、
「 やめてっ! 聞きたくないっ!!」
あたしはバッと耳をふさぐ。
少しの無音……
そして、
"……ビイィィィ——ン……"
空中を飛び回っていたヒモが動きを止め、横にピンと長くなった。