SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
◇大仙の伯耆坊
……ここは、どこ……
岩肌の見える傾斜した大地にあたしは立っていた。
久しぶりの外の世界。露にぬれた草木、土のにおいが鼻をかすめる。
……ここは山の頂だろうか。
眼下に、山々がどこまでも連なっているのが見渡せる。
……あたし、どうして……
……何して……たしか……
「わりい! 暴走しちまった!」
————え、
空から声が降って来て、あたしは思わず顔を上げる。
「だいぶムリあったな。オレもこんなん初めてだわ。いや~まいった」
「……え、」
あたしは目を見開いた。
羽の生えた……少年……