SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 グヒ!」
コブの手の動きに合わせ、空気の刃が動きを止める。
張り詰めた緊張感がお姉ちゃんの周りを包んだ。
「……あなたたち最低! 人間のクズだよ!」
お姉ちゃんはズタズタになった制服を手で押さえ、目の前のコブを睨みつけた。
「 クズ~? クズはどっち? あんだけみんなの前で大口たたいといてさ、結局なにも出来ないじゃん。お前の方がよっぽどクズだね 」
「……っ! こんな事して恥ずかしくないの! 今に警察があなたたちを捕まえに来る。あなたたちの思い通りになんてならないんだから!」
「……ほんっとに、うるさい口だよなぁ~ 」
コブが人差し指をピンと立てる。
すると、小さなつむじ風がぐるぐると指に巻き付いて……
指がナイフに変化した。
「……あがっ!」
あごをつかまれ、お姉ちゃんの口に指のナイフが差し込まれる。
次の瞬間、
「——ん゛ギいぃぃーーッッ!!」
勢いよく指が横へスライドし、声にならない声が部屋中に響き渡った。
「「「「————ッ!! 」」」」
頬がザックリ切り裂かれ、肉がダランと下に垂れる。
お姉ちゃんの歯と歯茎があらわになった。
( いやあああああああ~っ!! ……お姉ちゃんっっ!!!! )
「……あがが……ぁぁぁ!」
痛みと恐怖で動けなくなったお姉ちゃんに、止まっていたV字の刃が襲いかかる。
"シャン! シャンシャンシャン!"
身にまとっていたものが細かく刻まれ、白い裸体がさらされた。