SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
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「……っ! 」


意識が目覚める。

ここは淡い緑の瞑想部屋。


「……うっ、ハアッ……ぅぅ!」


荒い呼吸と共に体がぶるぶる震えだし、


"ダン! ダン! ……ダン!"


拳を床に打ち付ける……


「 あ゛あ゛ぁぁぁっ!!! 」


こんなにも震えるのは、けして寒いからじゃない。

怒りが、憎しみが、心と体を荒立てるのだ。乱すのだ。かきむしるのだ。


"ダン! ダンダンダンダンッ!!"


「 どうしてどうしてどうしてっ……!」


記憶が鮮明にまとわりつく……


……どうしてっ……


お姉ちゃんは何も悪くなかった!


なのに、どうしてあんな……


あんなむごい殺され方!!


ひどい! ひどい! ひどい!


「 ひどいよっ!! 」


あたしは支配されていた。

たった今、取り戻した感情に。

"怒り"と"憎しみ"という感情に。


"ダンダンッ! ……ダアンッ!!"

「 憎い! 憎い! ……憎いっ!!」


コブが! カイドウが! Blue dollのやつらがっ!!


体中に毒水が流れているようだった。

どろりどろりと苦々しく流れて、理性がすべて押し流される……


これが"怒り"

これが"憎しみ"


曖昧だった感情が、今、確かに蘇り、あたしの心を支配する……
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