SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 ひどいっ……ひどいっ……動けなかった! なんで見せたの! 殺したの! お姉ちゃんは悪くなかった! なのになんでっ……なんでお姉ちゃんを!!」
「 美空、落ち着いて、」
「……人殺しっ! おまえなんか! おまえなんかっ!!」
——シャリン……
飾られていたもう一本の包丁に手を伸ばす。
「……っ!」
「……殺してやる! カイドウなんか! Blue dollなんか!」
「「……美空っ!!」」
すかさず黒木とユリが割って入る。
「 落ち着けミク! よく見ろ! こいつは一樹だ! カイドウじゃねえ!」
「…………」
黒木の声があたしを止める。
「……いつ、き……」
「そうだ一樹だ。オレたちみんな仲間だろ?」
「……なかま……」
煮えたぎった心に、少し、風が吹き込んだ。
「 しっかりして美空! Blue dollはもういないのよ!」
「……いない……?」
「そう! もういないの!」
「…………」
あたしは少し目線を下げた。
————ッ!
「……い、る……」
またも憎悪の念が突き上げる。
「Blue dollはまだっ!」
「……え?」
「ここにも! あたしがっ!!」
新品の包丁にはあたしの顔と……
青いタトゥーが映っていた。