SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
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「じゃあ~美空、行ってくるわね」
しばらくして、身支度を整えたユリが黒木より先にマンションを出る。
D.S.Pでは最近、事件自体は少ないものの、別件で何か動きがあるらしく、二人に休みはなかった。
「そ~だ、ミク!」
さっきの争いで少しヤツれた黒木が、思い出したように駆け寄ってくる。
「ほいコレ」
あたしに、うすいブルーの大きなバッグを差し出した。
「……?」
「夏休みなのにスクールバッグってのはチョットな。出かける時はソッチの方がいいだろ?」
あたしはバッグを受け取る。
夏らしいメッシュ素材のかわいいデザイン。
バッグはズッシリ重かった。
「ちなみにバッグは一樹から。中身はまたオレとユリがいろいろ考えて詰めといたからな♪」
「……え、」
「じゃ、行ってくるな♪」
ニッと笑い、黒木もマンションを後にした。
「…………」
あたしはしばらくバッグを見つめていた。
ずっと引っかかっていた、一樹のことが……
一樹とはあれから一度も会っていない。
あたしはずっと満月の夜の事を謝れずにいた。
『アイツは気にしてねえよ 』
黒木はそう言うけど、あれ以来、音沙汰がなくなってしまった一樹に、あたしはどこか距離を置かれているような気がしたのだ。
バッグを肩に下げてみる……
「きれいな色」
バッグの重さとは逆に、心は少し軽かった。
「じゃあ~美空、行ってくるわね」
しばらくして、身支度を整えたユリが黒木より先にマンションを出る。
D.S.Pでは最近、事件自体は少ないものの、別件で何か動きがあるらしく、二人に休みはなかった。
「そ~だ、ミク!」
さっきの争いで少しヤツれた黒木が、思い出したように駆け寄ってくる。
「ほいコレ」
あたしに、うすいブルーの大きなバッグを差し出した。
「……?」
「夏休みなのにスクールバッグってのはチョットな。出かける時はソッチの方がいいだろ?」
あたしはバッグを受け取る。
夏らしいメッシュ素材のかわいいデザイン。
バッグはズッシリ重かった。
「ちなみにバッグは一樹から。中身はまたオレとユリがいろいろ考えて詰めといたからな♪」
「……え、」
「じゃ、行ってくるな♪」
ニッと笑い、黒木もマンションを後にした。
「…………」
あたしはしばらくバッグを見つめていた。
ずっと引っかかっていた、一樹のことが……
一樹とはあれから一度も会っていない。
あたしはずっと満月の夜の事を謝れずにいた。
『アイツは気にしてねえよ 』
黒木はそう言うけど、あれ以来、音沙汰がなくなってしまった一樹に、あたしはどこか距離を置かれているような気がしたのだ。
バッグを肩に下げてみる……
「きれいな色」
バッグの重さとは逆に、心は少し軽かった。