SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


こっちの様子などおかまいなしに少年は続ける。


「オレな、おまえと融合して、しるしをつけたんだよ。そしたら、なんか暴走してな……。 強い力どころか、今は逆におまえの力が弱くなっちまったって訳 」


あたしは訳が分からなかった。

一体、なんの話をしているのだろう。

そもそも、天狗って……

あれは伝説上のものじゃ……



「……いや、弱くなったっていうか、不安定っていうか、よく分からないんだ 」


混乱するあたしを前に、天狗と名乗る少年も首を傾ける。



《 こら伯耆坊! おまえは相変わらず雑な男だ。もっとうまく説明できぬのか!》

《まったくだ!》


赤い玉と青い玉が光を強める。
そこへ白い玉がやわらかな色をかぶせた。
< 28 / 795 >

この作品をシェア

pagetop