SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
《 まあまあ、太郎坊も次郎坊も少し落ち着いて、ここは私が……
伯耆坊、よもやあの事を忘れた訳ではあるまい。我々はもう、滅多な事には融合はせぬと決めていたではないか。
それにこの娘、その血の者でもなければ、鍛錬した器でもない。
どうなるやも知れんのに、何故その娘にしるしをつけたのだ。まことに前代未聞な事なのだぞ?》
「……分かってるさ 」
少年はため息をもらすと、遠くの方を見つめ黙り込む。
少しして再び口を開いた。
「……レムリアだ。あの時、レムリアがオレを呼んだんだ 」
《 レムリア⁉︎》
「 ああ、オレに助けろって言った気がした。オレも助けたいって思った。きっと、レムリアは何か感じたんだ。でなきゃ、オレを呼んだりしない 」
《 信じられん、しかし、何故…… 》
《暴走したではないか! こんな力の弱い者に何の役目があるというのだ!》
「……みんなだって分かるだろ? レムリアは意味のない事はしない。何か考えがあるんだよ。オレは、その意味を知りたい!」
——その時、
"ブワッ!!!!"
大気が大きくゆらめいた。