SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……えっ、」


「……っ、……D.S.P? 闇の、特殊警察……」


顔色を変え、若が小さく繰り返す。

張り詰めた空気が三人の間を流れた……


……あ。

さっと記憶がよみがえる。

そういえばあたし、あの時、クマから玉ちゃんを守るために、堂々とバリアーを使っていた。

でも、どうして玉ちゃんがD.S.Pの事……



「……不思議か? 何故ワシの口からそのような言葉が出るのかと」


「…………」


コクンとあたしは無言でうなづく。


「ワシら日陰の人間ほど、その手の話題には明るい。それと、昔の知り合いがソレの関係者におってのう。たまにふと思い出しては情報を集めたりなどしていた……」


「……え?」


「案ずるな。ワシらはけして口外などはせん。お前の素性を知った所で何も変わりはしない」


「…………」


「……警戒しとるのか? ワシらは別に、お前の力を利用しようなどとはこれっぽっちも思ってやせんぞ? だから、正直に話せ」


「……あ~、」


マニュアルの存在がチラつく。

でも、


「わかった」


見透かすような二人の強い眼差しに、あたしは何の言い訳も出来なかった。


「……ではもう一度聞く。 美空、お前は特殊能力を操るD.S.Pの人間か?」


「うん。そうだよ」


まっすぐ二人を見て答える。


「……そうか……」


玉ちゃんが深くうなづいて、若は唾を飲み込んだ。
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