SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……美空。差し支えなければ、もう一度見せてくれんか? 先ほどのあの技を、こいつにも」


玉ちゃんがクイッとあごを動かす。


「うん、いいよ」


あたしは二人と距離を取った。


「……おい、見せるって何を……」


「玉ちゃん、あたしに何か投げて。固いものがいい。石とか、ナイフとか、銃で撃ってもいいけど」


「はっ⁉︎」


「……銃やナイフはさすがに気が引けるな。これでもいいか?」


手にしたのはガラスの灰皿。


「うん、いいよ」

「では!」

——ビュオッ!

あたしを目がけ、それが回転しながら飛んできた。


「おいっ——」
「——ハッ!」

"ガシャンッ!"

強度に負け、たやすくそれが砕かれる。

バリアーに弾かれた灰皿は畳の上でバラバラになった。


「みごと!」
「……っ!」


満足気な玉ちゃん。

若は割れた灰皿を見つめた後、呆然とバリアーに目を向ける。


「……これは……」


「バリアーだよ」


「……バリアー?」


おそるおそる、透明の球体を手でなぞった。



「……これがPSYというやつか。話には聞いていたが、こうして目の当たりにするのは初めてだ……」


「えっと、それと、ESPも」


「……?」


「あたしの能力。ESPは探査が得意。だから、玉ちゃん見つけられた」


「……ESP、探査……」
「なるほど。そうであったか」


「……でも、」


シュン、とあたしはバリアーをほどく。


「さっきのちょっと違うかも。あたし、D.S.PだけどD.S.Pじゃないんだ」


二人を見ながらそう言った。
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