SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……D.S.PだけどD.S.Pじゃない?」
「……それはつまり、どういう事だ?」
「あたしの事件は一般社会。一般社会の中で闘う。D.S.Pじゃダメなんだ」
「ああん?」
「一般社会?」
「うん。能力、使える時と使えない時があるんだ。あたしひどい不安定。今は調子がいいんだけど……」
「「……ほう、」」
「安定じゃないとD.S.Pだめ。でも、一般社会なら何とかなるんだ」
「……一般社会なら、か……」
「なるほど。能力者のいる世界よりは、たやすいという訳か」
「うん。天狗がしるしで呼ぶから」
「「……?」」
「小さな事からコツコツとって。天狗はあたしが弱いって言うけど、呼ばれたらいっぱい力使えるんだ」
「……? 天狗? D.S.Pに天狗がおるのか?」
「ふん。どの世界にもいるんだな。才能や地位を鼻にかけ、傲慢に力を誇示する奴が」
「おお。なるほどそういう事か。D.S.Pではお前も見下されていたのだな」
「おおかた、D.S.Pで役に立たないのなら、せめて社会貢献でもしろという事だろう」
「 なるほどのう…… 」
二人は納得したような顔をした。
……? あれ?
なんか違うような気もするけど……
合ってるような気もするし……
まあ、いっか。
「……美空。他にもおるのか? お前のように一般社会で活動する能力者が」
「……? いないよ」
「では、お前一人という事か?」
「うん。ダメなのあたしだけだし」
「……たった一人で協力者もなく……闘っていたというのか、今まで……」
「なんとかなるし。それがあたしの役目なんだ」
「……なんとかって……」
「……あん? ……待て、先ほど不安定だと言っておったが、能力が使えぬ時はどうしておるのだ?」
「あ~、トレーニング受けてたし。なくても少しは闘えるんだ」
「……お前本当に闘えるのか⁉︎ いかにも弱そうな上に、一撃でも加えればすぐに死んでしまいそうだぞ!」
「……?」