SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……ふう、」
少年、いや、天狗のホーキボウが腰を下ろして空を見上げた。
あの光の龍を見たあとは、おとぎ話や伝説の、どんなものでも信じられる気持ちになっていた。
"ピ~ヒョロロロ~"
トンビが悠々と空を旋回している。
心地よい風が体を吹き抜けた。
「 オレさ、大きな事とか大それた事とか、あんま興味ねーんだ 」
静かに伯耆坊が語り出す。
あたしも座って空を見上げた……
「…………」
……きれいな空。
その青の青さに吸い込まれてしまいそうだ。
「 小さな事からコツコツと。まずは自分の周りから小さな火種を消していく。そんな積み重ねがオレには合ってる。おまえもそんなタイプなんだと思う 」
……?
あたしは、分からない。
自分がどんな人間かなんて……
「 それにしても、人間って恐ろしいもんだな。今や神にまさる力でさえ、簡単に手に入れようとしてんだからさ 」
それから伯耆坊はあたしに分かるように、多少ザツながらも、いろんな事を教えてくれた。