SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


……ところが——


"バインッ! ……ズザッ!"


何故か男の体が跳ね飛ばされた。


「……んはっ⁉︎」


訳が分からず、男は間の抜けた顔をする。


「……なんだ⁉︎」


ヘッドライトがその人影を映し出す。


「……ああっ⁉︎ なんだてめー⁉︎」


そこには悠然と立ち尽くす、"天使 美空"の姿があった。


"……キッ! ……キキッ!"


砂を巻き上げ次々バイクが停車する。


「「「誰だゴラアッ!!」」」

——ザッ……

狩人たちが少女と美空を取り囲んだ。


黒いパーカーに黒のパンツ。おまけに深くかぶったフードのせいで、男か女か、男たちには美空の顔は分からない。


「……ぅぅ、助けて……」


助けを求める少女に、美空はコクンと無言でうなずいた。


「……おいテメエ!」

——ガゴ!

跳ね飛ばされたさっきの男が、美空にヒザ蹴りを食らわせる。

脇腹への攻撃に美空は少しフラついたが、


(……よし。一発打たせてやった )


心の中でそうつぶやく。

次の瞬間には——


“ガンッゴッ! ドスドスッ!”
“タン……ガガガガ! バキッ、ドスッ!”


目にも止まらぬ技の連打で男たちを狩りとった。


「……ぐぅ、てめえ……」
「……その身のこなし……」

「……まさか……例の、」
「……黒パーカーの、男か……」


意味不明な言葉を残し、男たちは完全に意識を失った……


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