SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
◇扇龍のとばっちり
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——次の日。
あたしはマンションへ “ 宿題 ” を取りに来ていた。
終業式以来、開けていなかったバッグをあけてみる。
中には小道具と、けっこうな量の宿題が詰め込まれていた。
でも、
「くさいっ!」
思わず顔をそむけてしまう。
何週間も放置していたサンドウィッチが、とんでもない悪臭を放っていた。
——ガラ、ポイ!
窓を開け、速攻それを投げ捨てる。
『 ビニ゛ャ゛! 』
外からネコの変な声。
「……はぁ、」
バッグには嫌なニオイが染み付いてしまった。
——ガチャ……
まだ誰もいないマンションを後にする。
湧人の家へとゆっくり歩いた……
……重い。
道の途中、宿題の入ったバッグがズシリと肩に食い込んでくる。
……もう、なんでこんなにたくさんあるんだ。
夏休みなんだから宿題だって休んでも……
——と、 ふと湧人の言葉が頭をよぎる。
『あたり前だろ! 宿題なんだから、やらなきゃだめだよ!』
顔を引きつらせながら、昨日、湧人はそう言った。
……面倒だ。
何だか足が重くなる。
うつむきながら、またあたしはノロノロ歩き進めた。
「…………」
しばらくしてふと立ち止まる。
ここはマンションと湧人の家の、ちょうど中間地点にある屋敷。
自然と顔が上を向く。
視線の先には"ハンカチの木"
「やっぱりきれい」
さっきも見たのに、ついつい足が止まってしまう。
真夏に見るハンカチの木は、葉っぱの真ん中だけが濃い緑で端がうすく透けている。
花はもちろんきれいだけど、葉っぱも宝石みたいにキラキラしてて、あたしはどっちも好きだった。
すると、
「わあ、きれい!」
同じように少女が上を見上げている。
……あ、れ。
「……かおる?」
「……?」
パチリ、少女と目が合った。
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——次の日。
あたしはマンションへ “ 宿題 ” を取りに来ていた。
終業式以来、開けていなかったバッグをあけてみる。
中には小道具と、けっこうな量の宿題が詰め込まれていた。
でも、
「くさいっ!」
思わず顔をそむけてしまう。
何週間も放置していたサンドウィッチが、とんでもない悪臭を放っていた。
——ガラ、ポイ!
窓を開け、速攻それを投げ捨てる。
『 ビニ゛ャ゛! 』
外からネコの変な声。
「……はぁ、」
バッグには嫌なニオイが染み付いてしまった。
——ガチャ……
まだ誰もいないマンションを後にする。
湧人の家へとゆっくり歩いた……
……重い。
道の途中、宿題の入ったバッグがズシリと肩に食い込んでくる。
……もう、なんでこんなにたくさんあるんだ。
夏休みなんだから宿題だって休んでも……
——と、 ふと湧人の言葉が頭をよぎる。
『あたり前だろ! 宿題なんだから、やらなきゃだめだよ!』
顔を引きつらせながら、昨日、湧人はそう言った。
……面倒だ。
何だか足が重くなる。
うつむきながら、またあたしはノロノロ歩き進めた。
「…………」
しばらくしてふと立ち止まる。
ここはマンションと湧人の家の、ちょうど中間地点にある屋敷。
自然と顔が上を向く。
視線の先には"ハンカチの木"
「やっぱりきれい」
さっきも見たのに、ついつい足が止まってしまう。
真夏に見るハンカチの木は、葉っぱの真ん中だけが濃い緑で端がうすく透けている。
花はもちろんきれいだけど、葉っぱも宝石みたいにキラキラしてて、あたしはどっちも好きだった。
すると、
「わあ、きれい!」
同じように少女が上を見上げている。
……あ、れ。
「……かおる?」
「……?」
パチリ、少女と目が合った。