SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
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「じゃあ、あたしはここで」


「……うん。じゃあ、また」


交差点で薫と別れる。

薫はこれからさっきのメール男と会うらしい。

小さくなる薫の後ろ姿を見つめながら、あたしはぼーっとその場に立ち尽くしていた。


……う~ん?


さっき一瞬だけ心がモヤッとしたんだけど、


気のせい、だったかな……?


首をかしげ、横断歩道を渡り始める。


すると、


"パッパアーッ! ……ブオンッ!!"


「……っ!」


高いクラクションと共に、黒いワゴン車が信号無視で交差点へと進入してきた。


「わっ!」
「キャア!」


車は歩いていた人をギリギリかすめて、蛇行運転で走り去る。


……なに?


嫌な予感がワッと広がり、“ ジワッ!” としるしも反応する。

……!

あたしは黒い車の行方を追った……


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「……ハァ、ハァ、」


滅多にかかないはずの汗がツウ~と頬を流れ落ちる。


……まったく。

いつになったらしるしの力が戻るんだ。

全速力で走っては来たけど、けっこう時間がかかってしまった。


……ハァ、


あたしは思うことがある。

しるしは呼ぶだけ呼ぶけど、もし事件に間に合わなかったら、一体どうすればいいんだろう。


"……ジジジ……"


あたしのESPがその場所を感知する。


「……あれか」


変装用の黒パーカーを着て、あたしはそこへ近づいた。
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