SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……あっ! わっ!」
「……急に止まっ……」
"……ドオンッ!!"
思いっきり衝突し、あたしたちは坂道を面白いようにゴロゴロ転がる……
「「うわあ~っ!!」」
"ゴロゴロゴロ……ゴンッ!"
やがて電信柱があたしたちを受け止めた。
「「……ってえ~……」」
「…………」
「……って、あれ?」
「……あんま痛く、ない?」
「…………」
「……! あ゛ーーっ!!」
「……っ、大丈夫スかーっ!」
あたしを下敷きにしてた二人組がやっと気付いて飛びのいた。
「「スンマセンッ!」」
「大丈夫」
「「でもっ!」」
「……ねえ、」
あたしはムクッと起き上がる。
「どうしてあたしの名前、知ってるの?」
気になった事を聞いてみた。
「……へ? ……あっと、」
「覚えてないスか? オレらのこと?」
「……? 誰だっけ?」
「ほら、オレら扇龍の……」
「アジトでお会いしましたよね⁉︎」
二人は顔を近付ける。
……? せんりゅう? アジト??
「……あ、」
言われてあたしは思い出す。
……そうか、
この二人、なんか見た事あると思ったら
「あの時の、ぼう、そうぞく?」
「そうっス! オレら暴走族っス!」
「思い出してくれました?」
二人はパッと瞳を輝かせた。
……そう、
夏休み入ってすぐ、あたしは暴走族と知り合った。
いろいろあって殴られて、気を失ったあたしは、気付いたら扇龍という暴走族のアジトにいた。
そのアジトから帰る時、送るって言ってきたのが、この金髪二人組。
でも何故か二人は逃げてしまい、結局、送られる事はなかったけど。