SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「あの時は一人で帰らせてしまってスンマセンでしたっ!」

「オレら、どうしてもそのこと謝りたくて!」


「……え、」


……なに?

わざわざそんな事の為に、必死になって追いかけて来たの?


「……あの後、総長に怒られたっス」
「……総長、しばらく不機嫌で……」


「…………」


「ほんとスンマセン!」
「オレらアレだけはほんと苦手だったんス!」


……?


「アレって?」


「……アレは……オ、オバケっすよ!」
「美空さんは “ 視えるお姉さん ” なんですよね⁉︎」


「……みえる、おねーさん?」


……なんだそれ。


「……オバケって、あたし、霊感あるって言ったっけ?」


「めっちゃ言ってたっスよお!」
「婆さんが殺しに来るとかなんとか!」


「……え、」


訳が分からずあたしは首を傾ける。

すると、


"……ウ゛ォオオーン……キッ!"


一台のうるさいバイクが停車した。


「やっぱオメエか!」


目の前にはデコボコ顔の男が一人。


「……あ、」


なんか見たことある。

……えっと、たしか……


「坊主!」

「テルだっ!」


“ テル ” は片方の眉をつり上げた。
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