SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「お邪魔するよ~」


さっきの話し合いの主たちが、そのままこっちに流れてくる。


「オウ、待たせたな!」
「わあ! キミが例の⁉︎」
「オレは二度目。アンタは覚えてないだろうけど」


テルの他に、青い頭と白い頭が姿をみせた。


「僕は蒼(アオ)。よろしくね」


優しい雰囲気の、青い頭がニコッと微笑む。


「……オレは箔(ハク)」


どこか冷めた雰囲気の白い頭は、少し離れた場所に腰をおろした。


「……へえ~。いろいろ噂には聞いていたけど、ほんと二次元のアニメキャラみたいだね」


青いのがいろいろさわってくる。


「……にじげん?」


「アオ! おめえはすぐ! さわんな! コイツはケガ人だぞ!」


アオの手を払いのけ、テルがあたしの隣に腰をおろした。


「……え? ケガ? どうしたの?」


「……それが、ネンザしたっつーから後ろ乗っけて走ってたらよぉ、いきなりバイクから転げ落ちたんだ。犬に噛まれるわ、ババアのくそチャリにひかれるわ、大変だったんだ……」


「「……っ!!」」
「……えっ⁉︎ 大丈夫なの⁉︎」


「ああ。奇跡的にかすり傷で済んだ。コイツもケロッとしてるしな」


「「…………」」


「……へえ。ほんと奇跡的。バイクから落ちたら普通大ケガしてるもんね」


「だろ? オレもいろいろテンパっちまって……まだコイツから何も聞けてねーわ」


テルはチラッと奏太を見る。



「……そうか 」


奏太が静かに口を開いた。



「……美空。お前に聞きたい事がある」


長い前髪からのぞく威圧的な瞳……

まっすぐにあたしを見つめながら、奏太は口を動かした。


「陽菜を助けたのは、お前か?」


半信半疑の感情……

ああ、なんだと思ったらその事か。


「そうだけど?」


あたしはさらっと奏太に答える。


「……なっ! どうやって!」


たちまち奏太の顔が険しくなった。


……?


「探検してたら偶然見つけた」
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