SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……おいおい、気づかなかったのかよ? ここはいわば異次元の世界なんだぞ? おまえは今は魂だけの存在。肉体はまだ眠ってるんだ 」
……え。
「 でも、そろそろもとの世界に戻らねえとな。あっちとこっちじゃ時間軸が違うんだ。肉体はもう三週間も眠ってんだぞ?」
「……三、週間……」
「 それに、さっきからおまえの意識を探ってる奴がいてな? あっ、そうだ! ちょっとそいつに手伝ってもらおっかな~ 」
伯耆坊は何か思いついたようにサッと立ち上がると、大きく翼を広げた。
赤い目に力がこもり、気迫がグンと滲んでくる。
「 おーい! アンタ、聞こえてんだろ? ちょっとこっちに来てもらうぞ?」
伯耆坊が手を伸ばす。
その手が宙をさまよい……
何かを、つかんだ……