SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
伯耆坊は、そんな男の様子を気にする事なく、離れた男の手を再び自分の手とつないだ。
「 なっ!」
それを振り払おうと男は抵抗をみせている。
……が、すぐに男は静かになった。
男は何か探るように伯耆坊と視線を合わせ、驚いた顔で目を見開いたり、眉間にしわを寄せたりを繰り返している。伯耆坊もジッと男を見つめていた。
二人の間に無言の時間が流れる……
やがて二人の手が離れると、今度は男の視線があたしとぶつかる。
「……信じられない 」
男は呆然とした様子で、そんな事をつぶやいた。