SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「 んじゃあ~美空! 小さな事からコツコツと、まずは美空の好きなようにやってみればいい!」
「……伯耆坊……」
「 大丈夫! 美空にはレムリアやオレがついてる! オレはここで美空の事、ずっと見守ってるからな!」
そう言うと、伯耆坊はあたしの手と一樹の手をつなぎ合わせる。
もう片方の手もつなぐと、あたしと一樹は向かい合う格好となった。
まるで大人と子供。背の高い一樹を見上げると、シャープなあごのラインに目がいった。
「 じゃあ、そろそろいくぞ?」
伯耆坊が羽を広げ、空にスッと手を伸ばす。
"バチッ、バチバチッ……!"
先ほどと同じように空間に裂け目ができる。
体がふわりと軽くなって、空間の裂け目へと引き寄せられる……
……ああ、
……現実に、戻るんだ……
"バチバチ! バチバチバチッ!"
体が裂け目の方へとのみ込まれてゆく……
——と、下から伯耆坊が慌てて叫んだ。
「 忘れてたっ! 美空! おまえにはすでに加齢停止の能力が働いてる! あの時、暴走した時にっ……! おまえはずっと、15才だ!!」
————えっ……
体が、意識が、白い光に包まれた……