SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「一ノ瀬さんも黒木さんも落ちついて。みんな冷静に」
喧騒の中を凛とした声が通る。
「一樹!」
声の主は一樹だった。
一樹は少女を囲むバリアーを見ると、小さくうなづきながらつぶやいた。
「なるほど。無意識の、自己防衛の為の能力か 」
「イツキい! おま、おまえ、何がどうなってるんだ⁉︎ 今の今までずっと眠りっぱなしでよお。そのままポックリくたばっちまうのかと思ったぜえ⁉︎」
そう。バリアー騒動が起きるまで、D.S.P内全員が一樹の身を案じていた。
原因は三日前……
なかなか目を覚まさない少女の意識を探っていた一樹が突然倒れたのだ。
この事態に、事情を詳しく知らない隊員たちは、ますます少女への不信感を強くした。
「すみません。実は高次元エネルギーと接触していたもので…… 」
「んあ?」
眉間にしわを寄せ凝視する黒木に、一樹はフッと目を細める。