SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
……まったく。
コイツ、どれだけ刃物なんだ。
ヤクザだろうが何だろうが、中身はほとんど覇鬼と変わらない。
なんでコイツら、すぐに武器を持ちたがるのか
ないと、まともに闘えないのか……
「訳が分からない」
「……あ?」
内心あきれてしまうけど、
————ダンッ!
そろそろあたしも反撃する。
「……ッ!」
"グイ! ……ドンガッ!!"
あたしは男の両手を押さえて膝蹴り、そのままクルッと回転し、
"……ドンッ! ……ベシッ!"
背中を一打、のけぞった頭を払いよけた。
「……あぐっ……」
床に転がる次男坊。
でも完全にはまだ倒れない。
「……くッ……」
顔を歪め、のろのろその場に立ち上がる……
「…………」
……ふうん。
こいつ、体は結構タフらしい。
あたしの鋼のこのボディ。
覇鬼なら一撃で、すでに倒れているはずなのに。
「……貴様あッ!」
……?
次男坊の目が尋常じゃない。
狂気をはらんだその顔は怒りで微かに震えていた。
「……オイッ!」
あたしを睨みながら男は誰かに何かを合図する。
すると、
——ブワッ!
風とは違う空気が体に押し寄せる。
紙くずなどが舞い上がり、あたしの周りを旋回した……
"……ワ〜ン……ワ〜ン……"
聞き慣れない変な音も聞こえてくる。
……? ……なに?
「ヒヒャハハハ! 紹介するぜ! 組の秘密兵器だッ!」
次男坊の後ろから男が二人現れた。