SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「ハア〜ッ!!」
手のひらをこちらに向ける胴着男と、
"……ブブ……ウワワ〜ン"
棒の先に丸いのがついた変な機械を持つ男。
二人は次男坊の両脇に並んだ。
「どうだ! 手も足も出ねえだろう! コイツは世界最高の気功術師、そしてコレは最強の電磁波装置だッ!」
……きこう? ……でんじは?
「お前の動きは気功術師が完全に封じた! そしてこの最新型の電磁波装置! もはやお前は電子レンジにかけられたのと同じ事! 3000MHzの電磁波がお前の体を破壊する!」
"……ワ〜ン、 ウワ〜ン……"
波のある機械音があたしの周りを包囲する。
「……?」
「ヒヒッ! 悶絶するほど苦しいだろう? だが、逃げる事も出来ねえなあ? この気功術師がいる限り、お前はずっと苦しみ続け——」
「——ねえ!」
あたしは一歩前に出た。
「「「……っ⁉︎」」」
「それがどうかしたの?」
普通に軽く動いてみせる。
「……ッ! おいッ!」
「「……はっ!!」」
両脇の二人が慌てて前に飛び出した。
——ザッ!
「わたしは世界気功術師協会幹部の者! わたしの気功術にかかればお前は指の一本も動かせぬ!」
気功男がまたもハア〜! と手をかざす。
"……ワ〜ン、 ワ〜ン……"
「これは超強力な低周波電磁波装置! 電磁波が神経や筋肉に影響を及ぼし、やがては内臓機能を停止させる!」
電磁波男もこれでもかというぐらい、あたしに機械を押し付けてきた。