SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
……?
なんか、ハ〜ハ〜ワンワン、音だけうるさい。
「ねえ。だから何やってるの?」
あたしは首を傾ける。
電磁波装置をツンツンさわった。
「「……っ⁉︎」」
二人は顔を見合わせる。
「おいテメエら何やってるっ!」
「はいっ、あのっ、今日は調子が悪いみたいで……」
「……たぶん、機械の故障かと……」
二人は次男坊に振り返る。
確かめるように手や機械を動かした。
……と、
「……ウッ! ……オゲエッ!!」
次男坊が硬直し、なんかオエ〜ってなっている。
「……ひぃっ!」
「大丈夫ですかっ!」
「どこが大丈夫だッ! テメエら俺を殺す気かゴラアッ!!」
"バキッバキ! ドスッ!"
次男坊は二人をおもいっきり殴りつけた。
……ああ。
やっとあたしはそれに気付く。
そうか。普通ならさっきのやつで次男坊みたいになってたのか。
でも今あたしは全身バリアーで覆われている。
バリアーは、熱やレーザー、ガスなども完璧に防ぐ事が出来ていた。
「貴様ッ! よくもやってくれたなあッ!」
次男坊の目が血走る。
「別に、何もやってないけど」
「じゃかーしいッ! オイッ!」
次男坊がまた何かを合図する。
すると、
「きゃあっ!」
「やめろっ!」
「離せっ!!」
アジトの奥から響く声……
……!
ヤクザたちに拘束され、陽菜と中学生くんたちがズルズルこっちへ連れて来られた。
「離して!」
陽菜が護身術を試みる。
けれど覚えたばかりの護身術など、ヤクザには全然通用しない。
「……あうっ!」
逆にもっと強く拘束された。
「「……陽菜っ!!」」
「「……キサマらッ!!」」
あちこちから扇龍の声が飛んでくる。
そこへ、
「おいッ!」
乱闘に一区切りつけた奏太が、あたしのそばへやってきた。