SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……わかった……」
あたしは一歩前に踏み出す。
「……美空っ!」
「好きにすればいい。そのかわり、早くみんなを離して」
次男坊を見つめて言った。
「……ほう、」
「待てっ! おまえ何をっ……」
奏太があたしの腕をつかむ。
「おいッ! ……うッ!」
……?
「……奏太?」
突然、奏太の体が硬直する。
「ハア〜ッ!」
さっきの気功男が奏太の動きを封じていた。
「……ヒッ、ヘヘッ……」
ヘラヘラしながら次男坊が近付いてくる。
「交渉成立だな。 それじゃあ……」
————ドガッ!
衝撃があたしの体を直撃する。
強烈な蹴りがあたしの体を吹き飛ばした。
「……っ、 ……みくっ! 」
……あ、れ……
あたしは自分の体の異変に気付く。
いつの間にかバリアーがほどけて、すっかり生身の体に戻っている。
こんな時に、不安定?
「……はあ、」
あたしはゆっくり立ち上がった。
「そうそう、言い忘れていたが、人質解放にはまだ条件があったんだ……」
あざ笑うように次男坊が喋りだす。
「条件その1、お前は抵抗せず、俺からの制裁を受ける事。 条件その2、扇龍諸君には殴られ切り刻まれる女のサマをその目にじっくり焼き付けてもらう」
「「「「……ああッ⁉︎」」」」
「「「「……んだとッ……!!」」」」
怒りに駆られ、扇龍メンバーが近付いてくる。
そこへ電磁波男が立ちはだかった。