SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

"……ワ〜ン……ワ〜ン……"


近付く者には容赦なく強い電磁波が浴びせられる。


「「「……ウ゛エエッ!!」」」


うずくまり、扇龍メンバーが悶絶した。


「ヒヒャハハハッ!!」


“バシッ! ドカッバキッゴッ!


次男坊が無抵抗のあたしの体に次々拳を打ち込んでくる。


——バゴッ!


喉元を蹴られ、あたしは仰向けに倒された。


「「「……ッ……!!」」」
「「「……美空っ……!!」」」


「へへッ」


次男坊が不敵に笑う。その直後、


————ザンッ!!


ナイフがあたしに突き刺さった。


「「「「……ッッ……!!」」」」


左手が床に固定される。

骨を砕き、ナイフは完全にあたしの手のひらを貫通していた。

すぐに血だまりが出来てゆく……


「「「——美空ッ……!!」」」


「恐怖で声も出ねえってか⁉︎」


——グッ!


刺さったナイフの柄をつかみ、男はぐりぐり傷口を広げる。


……ああ、


あたしの左手、もうボロボロ……



「……なんだお前、つまんねえ女……」



ゆらり次男坊が立ち上がる。


「もっと泣け! 叫べ! 苦しめ! ああ⁉︎」


怒りながらドカドカあたしを蹴りまくった。


「「「……ッッ……」」」

「「「……やめろ……」」」

「「「……もう、やめてくれ……」」」


耳に届く悲痛な声……


「……フン!」


次男坊は少し離れて首を回した。
< 467 / 795 >

この作品をシェア

pagetop