SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
◇目覚め
「……ん、」
……天井。
見慣れた茶色のシミがない。
いつもの場所と、ちがう場所……
「 美空?」
……あ、一樹。
……それと……
視線をずらすと、たくさんの知らない顔が並んでいた。
……ここが、現実?
ゆっくり体を起こすと、それまで静かだった室内がザワついた。
薬品のにおいと、甘くて香ばしい、いろんなにおいの混じる部屋……
「 美空、大丈夫ですか?」
一樹があたしの顔をのぞき込む。
「…………」
あたしは自分の体を確かめる。
……っ!
驚いた、こんなに白い肌……
ボコボコの傷跡も、変形していた所も、全部治ってる。