SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
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——8月31日。
お昼過ぎ……
「……はあ〜、」
シャワーを終え、あたしはぐったり縁側に座り込む。
……もう。
シャワー浴びるのも一苦労だ。
左手が使えないだけで、まさかこんなに日常生活が大変になるなんて……
そこへ、さっと湧人がやって来た。
「みく? 髪かわかすよ?」
"ブオ〜"
あたしはされるがまま。
湧人はドライヤーであたしの髪を乾かした。
おとといの満月の日の夜。
ここへ帰って来てから、湧人はなにかとあたしの世話を焼く。
お風呂や着替えはお婆ちゃんの手を借りるけど、それ以外は全部手伝ってくれるのだ。
「ありがとう。 湧人、優しいね」
そう言うと、
「……別に。誰にでも優しい訳じゃないから」
湧人はちょっとツンとする。
今度はあたしの手の包帯を替え始めた。
「…………」
満月の夜の事は、いまだに謎のままだ。
心配した黒木とユリがあのあと電話してきて、あたしは不思議を言ったけど、よく分からなかったのか、二人は “ う〜ん? ” を繰り返した。
霊を跳ね返す湧人の体質に関係があるのか、やっぱり子どもの癒し効果なのか、そこはよく分からない。
でも、あたしはあまり深く考えない事にした。
平気だったって聞いて黒木もユリも安心してるし、それに……
湧人のおかげで、あたし、いろいろ助かってるし。
「みく? 明日、学校どうするの?」
湧人が顔をのぞき込む。
……?
「どうするって?」
「……だって……」
あたしの顔をじいっと見つめ、こらえるようなその表情……
「……あ〜、」
湧人はまだ目立つ、あたしの顔のアザを気にしていた。
「大丈夫。コンシーラー」
あたしは水色バックに手を伸ばす。
ケガや打撲の手当ての仕方、アザの消し方もトレーニングで教わっていた。
「……えっと……」
あたしはバックをゴソゴソあさる。
すると、見慣れないネコの人形が目に入った。
……なんだ、これ?
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——8月31日。
お昼過ぎ……
「……はあ〜、」
シャワーを終え、あたしはぐったり縁側に座り込む。
……もう。
シャワー浴びるのも一苦労だ。
左手が使えないだけで、まさかこんなに日常生活が大変になるなんて……
そこへ、さっと湧人がやって来た。
「みく? 髪かわかすよ?」
"ブオ〜"
あたしはされるがまま。
湧人はドライヤーであたしの髪を乾かした。
おとといの満月の日の夜。
ここへ帰って来てから、湧人はなにかとあたしの世話を焼く。
お風呂や着替えはお婆ちゃんの手を借りるけど、それ以外は全部手伝ってくれるのだ。
「ありがとう。 湧人、優しいね」
そう言うと、
「……別に。誰にでも優しい訳じゃないから」
湧人はちょっとツンとする。
今度はあたしの手の包帯を替え始めた。
「…………」
満月の夜の事は、いまだに謎のままだ。
心配した黒木とユリがあのあと電話してきて、あたしは不思議を言ったけど、よく分からなかったのか、二人は “ う〜ん? ” を繰り返した。
霊を跳ね返す湧人の体質に関係があるのか、やっぱり子どもの癒し効果なのか、そこはよく分からない。
でも、あたしはあまり深く考えない事にした。
平気だったって聞いて黒木もユリも安心してるし、それに……
湧人のおかげで、あたし、いろいろ助かってるし。
「みく? 明日、学校どうするの?」
湧人が顔をのぞき込む。
……?
「どうするって?」
「……だって……」
あたしの顔をじいっと見つめ、こらえるようなその表情……
「……あ〜、」
湧人はまだ目立つ、あたしの顔のアザを気にしていた。
「大丈夫。コンシーラー」
あたしは水色バックに手を伸ばす。
ケガや打撲の手当ての仕方、アザの消し方もトレーニングで教わっていた。
「……えっと……」
あたしはバックをゴソゴソあさる。
すると、見慣れないネコの人形が目に入った。
……なんだ、これ?