SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

……?

あたしは湧人を思い浮かべる。

お母さんが死んだり、暴力を受けたり、湧人は辛い思いをしてきたけど……

でも今は乗り越えて、勉強も空手もがんばってる。


「うん。湧人はいっぱい強いと思う」


「「……へえ〜、」」


声を合わせて二人は頷く。


「Gアンチが満月の反応に効果アリ?」


「どうなってるのかさっぱり分からないわね」


それぞれ考えるように軽くアゴに手をあてた。


「ヨシっ! ナゾを解明する為、今からユウトに会いに行くぞ!」


「そうね! 美空がお世話になったんだし、ちゃんとお礼言わないと……」


二人はパッと立ち上がる。


……えっ……


「だめっ!」


あたしは前に立ちふさがった。


「「……美空??」」


「湧人は秘密の友達なんだ。だから、だめ!」


「……ヒミツ?」
「美空、ちょっと挨拶するだけよ?」


「だめ。 黒木、絶対なにかする」


「……へ?」
「なにかって何を?」


「かじる! 食べる! のみこむ! 湧人かわいそう!」


「……でえ〜っ⁉︎」

「……美空、さすがに誠さんもそこまではしないわよ」


「でも、なんかやだ!」


「「ええ〜??」」


二人は不満そうな顔をした。
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