SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
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「……ハァ、……ハァ、 ……たく、一体なんなんだよ……」


息を乱し、奏太が芝生に座り込む。


「ハァ〜、ほんと、相変わらずのメチャクチャぶりだな……」


「……ふう、」


あたしもグタッと座り込んだ。

辺りはだいぶ薄暗くなっていた。

公園にはもうほとんど人影はない。



「おまえ、いっつもこんな事してんのか?」


「……うん?」


「こんな、人助けみてえな事……」


「あ〜。困ってるの、反応する」


「……霊感か。たく、どうしようもねぇお人よしだな」


後ろに手を付き、奏太はハア〜と息を吐く。

藍色の空を仰ぎ見た……



「……そういや、薄井が言ってたな。夜中おまえに起こされてどっかの爺さん助けたって。 ……ああ、あの時もそうか。おまえ居眠り運転の車に目覚まし時計投げ込んだっけな」


「……あ〜、」


「……フッ、お人よしもココまでくると長所なんだか短所なんだか。ホント、おまえといると退屈しねえな」


街灯のほのかな灯りが奏太を照らす。

最初の時とは明らかに違う、無邪気な奏太がそこにいた。


「奏太。さっきはありがとう」


あたしは奏太にお礼を言う。

さっき奏太は女の子を襲ってた不良軍団をぶっ飛ばし、刃物を持った変質者もあたしの代わりに捕まえてくれた。


「おまえがわざと一発殴られようとするからだろう。なんでわざわざそんな事……」


奏太はジトッとあたしを見つめた。


……?


「だってルール。一発打たせないと、警察に厄介」


「はあ⁉︎ アホか! そんなルール今すぐやめろ!」


「……だって、」


「だってもくそもあるか! 女が殴られんの黙って見てろって言うのか! 冗談じゃねえ……もうあんな思いはこりごりだ!」


奏太は顔をゆがませる。


——グイ!


軽くあたしを引き寄せた。
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