SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
……傷を、治した?
この男が、あたしの傷を?
えぐれた皮膚も、曲がった骨も?
……すごい。
「 おいっ、黒木! 調子に乗るな!」
一ノ瀬、という男が冷たく言い放つ。
そして、少し離れた所にいる男たちをチラッと見やると小声で喋った。
「 あれは明らかにお前の力の限界を超えていた。大体、傷跡まで修復するなんて、今まで出来なかっただろう 」
「 な~に言ってんスかあ、進化してるんスよお? オレだってえ 」
「 オレには何か別の力が作用した相乗効果に見えたが?」
「 エ~? うそ~なにソレ~?」
黒木は目をそらしてあさっての方を向く。
一ノ瀬はやれやれといった表情で腕を組むと、あたしをジッと見下ろした。
「 さて。大体の事情は一樹から聞いた。一樹はテレパスだ。おまえの記憶を読み取る事が出来る。だが、おまえの口からも聞かなければならない、Blue dollの事を。そして、聞かなければ分からない事もある。あの日、何があったのかを 」