SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「…………」
あたしは少し考える。
へえ、アニキか……
アニキってことは兄弟……
「……兄弟っ⁉︎」
「……っ!」
……えっと、
6年前にもう死んだ……
「……死んだっ⁉︎」
「……っ!」
一樹が、死んだ……?
「ねえ、本当に一樹——」
「——おいっ!」
奏太が言葉をさえぎった。
「いい加減にしろ! そんなに詮索したけりゃあ、まずはお前が先に話せ!」
「……え?」
「お前が何者かを言えばオレも答える」
強い視線をあたしに向けた。
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「ねえ、一樹って二人いるの?」
マンションへ戻ったあたしは唐突に黒木とユリに切り出した。
「……んへ?」
焼き鳥にかぶりつきながら首をかしげる黒木。
「なに言ってるの。一樹くんが二人もいる訳ないじゃない」
ユリはピザを食べながら冷静にあたしに言葉を返す。
「じゃあ、一樹は幽霊なの?」
「「……へ⁉︎」」
二人は瞳をパチクリさせた。
……あの後、
結局あたしは何も言えず、何も聞けず、奏太も何も言わずに帰って行った。
いろいろ訳が分からなくなったあたしは、黒木とユリに相談してみようと思ったのだ。
「……どしたあミク?」
「一樹くんがどうかしたの?」
食事の手を止め、二人はあたしに向き合った。