SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「あたしが言えば、奏太も喋る?」
「……あ?」
「……喋ってくれるの?」
「……ああ」
少しだけ目を泳がせ、奏太はあたしと視線を合わせた。
「じゃあ、言う」
あたしはピンと姿勢を正す。
「あたし、本当は霊能力者なんかじゃない。霊感あるけどちょっと違う。あたしのは更に変化したESPっていう超能力だ」
奏太を見据えてそう言った。
「……E、S……?」
「能力はまだある」
あたしはスッと立ち上がる。
両手に少し意識を集め、
「……ハッ!」
バリアーを “ ボン ” と出現させた。
「……っ!」
目を見開き、奏太がバッと立ち上がる。
二人を囲む球体を緊張した顔で見回した。
「……これ、は……」
「バリアーだよ」
「……バリアー?」
「うん。いつもはもっと透明なんだけど」
能力が戻ったばかりのバリアーは、強度の弱い半透明バリアーだ。
だけど見せるならこっちの方が分かりやすい。
「バリアーは大きくしたり小さくしたり。飛ばしたりも出来る」
あたしはバリアーの大きさを変えてみせる。
手首を動かし、バリアーを自在に移動させた。
「……っ、」
「あとはこうやって……」
全身に意識をめぐらせる。
ピタ! とバリアーを装着した。
「……⁉︎」
「闘う時は体にバリアー張り付けてる。強い打撃、防御、ケガしない、これのおかげ」
——ガアン!
つい立てに軽く拳を打ってみる。
黄色と黒のしましまはグンニャリいびつに折れ曲がった。