SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
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「 はあ~⁉︎ おまえ頭でも打ったのかぁ?」


たくさんいた隊員たちは、一ノ瀬の命令で部屋から出て行った。

かっぷくのいい、白衣を着たおばさんが黙々と散らかった部屋を掃除してまわる中、一ノ瀬と黒木、一樹の三人が少し離れた部屋の隅で話し合いをしている。



「 天狗ってあの天狗かあ~⁉︎ ……んあ~、別に一樹を信じてない訳じゃね~けどよお、しかもなんだ? 永遠の15才って…… 」


黒木が一樹を斜め下からなめるように見る。

一ノ瀬は何も言わず、腕を組み、眉間にしわを寄せて何か考えているようだった。


「 私もリアリストですから、黒木さんの気持ちは分かりますが……天狗に関して、こんな一説があります。

【 昔、深山幽谷に籠った山伏が、難行苦行を重ね、やがてお山の霊気と融合して、超能力的な神通の力を体得した。いつしか、それがお山の大聖者となり、ついに天狗の名のもとに神として祀られた】

まあ、他にも説はありますが…… 」
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