SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

◇その役目

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「——という訳だ。よって、ここにいる者にはすでにお前の事情は話してある。

だが安心せい。我々は服従と沈黙を厳しく命じる血の掟、オメルタを結んでいる。

命に代えてもお前の情報は口外せん」



ぼーっとした頭に玉ちゃんの低音がよく響く。

堅く扉が閉められた部屋の中、

あたしは鬼頭会の組長、玉ちゃんと顔を合わせていた。

玉ちゃんの隣には若頭の凌駕、後ろには柳と小暮、そのまた後ろには幹部の人たち30人位が緊張した顔で立っている。



「——であるから、今後の予定としては……」


「…………」


あのあと、奏太と別れた帰り道、あたしは鬼頭会の車に拾われた。

そのまま玉ちゃんの家に連れて来られたのだ。



「——とまあ、実体を隠しての活動になる故、表向きは会社ゴロや新聞ゴロ等……」


「…………」


なにやら、やっと組の指針が決まったとかで、さっきから玉ちゃんが話しているのだけど……

話の内容が難しくて、あたしにはさっぱり分からない。


「……はあ〜、」


おもわず口からため息がもれた。


「……どうした。何か不都合な点でもあったのか?」


玉ちゃんが顔をのぞき込む。


「……不都合っていうか……」


「……なんだ?」


「玉ちゃんの話むずかしい! あたしなんにも分からない! どうしていつもより顔が四角いのかも!」


あたしは玉ちゃんの顔面をペタペタさわる。


「……おいっ……美空っ、」


「「「「……っ……」」」」


凌駕が口をパクパクさせ、みんながサアーッと青ざめた。


「……?」


「そうかそうかそんなに四角い……いや、そんなにワシの話が難しいか?」


「うん、もっと分かるの話がいい」


「うむ。もっと分かりやすくか……そうだな、つまりはだ……」


「つまりは?」


「鬼頭会はみんな美空のお友達だという事だ」


「「「「……っっ……」」」」


「……親父っ! お友達って!」
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