SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「お友達は敵と戦う為に、あえて極悪の仮面をかぶるが心は清く正しくおるぞ。
お友達はけしてお前を裏切らん。困った時は必ず助ける」
「……お友達……」
あたしは幹部のおじさん、お兄さんを見る。
「でも、お友達、どうして顔が怒ってるの?」
「……おお、それはすまんすまん。 おい! ちっとは笑わんか!」
「「「「……っっ……」」」」
みんな、何故か不気味に微笑んだ。
……ふうん。
あたしとは年が離れてるけど……、 そうか、みんなお友達。
……?
お友達は、裏切らない?
「だが、別に友達以上でも構わんぞ?」
「……え?」
「建前の通り凌駕と一緒になっても」
「……っ……親父っ……!」
「……?」
「そうなればワシにとってはこの上ない喜びなのだが……」
「……?」
「……っ、その建前に関してもだが、やはり無理があるんじゃないのか! 俺とは年が離れている上、美空はずいぶん幼い気が……」
「何を言う! それだけ純粋だという事だ!」
「純粋には違いないが……」
「凌駕が23で美空が15、そんなたった8つの年の差など……
確かに今は幼くて世間知らずかも知れんが、磨けばかなりの器になるぞ。
これから更に女っぷりも増すだろうし、お前も嫌いなタイプではないだろう?」
「……っ、」
「美空はどうだ? イヤか? 凌駕と一緒になるのは……」
みんなの視線があたしに向く。
……?
「どういうこと?」
「今はまだ早いが、後々、凌駕と結婚する気はあるか、と聞いておるのだ」
「……結婚?」
「……っ、」
困ったように目をそらす凌駕と、
「「「「……⁉︎」」」」
ワクワクしたようなみんなの顔。
……ああ、 結婚……
「あたしは、ムリなんだ」
みんなを見ながらあたしは言う。
途端にみんなの表情が固まった。