SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「……そっ、それは立場の問題か? それならワシにもいろいろ手立てが……」
「違うんだ。あたしはずっと15才だから」
「……あん?」
「言ってた。結婚はお婆ちゃん16才」
「……ああん?」
「玉ちゃんに言うの忘れてた。あたし、加齢停止の能力もあるんだ」
「……加齢、停止……?」
「「「「……⁉︎」」」」
「そう。あたし4年も15才。これからも、ずっとずっと15才」
「……あんん⁉︎」
「「「「……⁉︎」」」」
「だから、誰とも結婚できないんだ」
シンと辺りが静まり返る……
「……ハァ。美空よ、お前はなんと複雑な娘なのだ。しかしそうか……それは極めて残念無念」
玉ちゃんは大きく肩を落とした。
「……親父。それならやはり設定を変えた方が。今はまだいいだろうが、時が経つ程に俺は深刻なロリコン若頭だ」
「うむ、仕方ない。当面は婚約者……いずれはワシの隠し子だったとするか? しかし組員達には何と……おい! お前等も知恵を貸せ!!」
……?
なにやら話し合いが始まった。
————それから……
鬼頭会では “ 決起集会 ” なるものが行われた。
「——改革に則り今後は個人の意識向上を怠らず共に新たな時代の幕開けを……」
「「「「…………」」」」
赤いじゅうたんの大広間には、おそらく千人以上の組員たち。
みんなビシッと整列して、真剣な顔で玉ちゃんや凌駕、幹部たちの長い話を聞いている。
そんな中、あたしはひとり自由に動く。
"トン! タ! ……ピョンピョン!"
「「「「…………」」」」
"ダダ……ズルッ……ガシャン!"
「「「「……っ……」」」」