SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

「一樹と奏太の事。 今まで……ごめん。ESPも、しるしの声も中途半端に聞こえるから、中途半端にしか言えなかった。だから、いっぱいいっぱい遠回り」


「……どういう事です?」


「やっと全部分かったんだ。しるしがあたしに言いたかった事。二人が離れちゃダメな理由」


「……理由?」


眉をひそめる一樹、

何の話か分からない奏太は、不思議そうにあたしと一樹を交互に見ている。



「……えっと、あのね、しるしが言うには奏太は……」


「「……??」」


「奏太は D.S.P に行くべきだって」


「「————⁉︎」」


途端に二人の表情が固まった。


「いや、むしろ絶対の絶対に、絶対行けって言ってるんだ、D.S.Pに」


「……D.S.P……」
「……しかし、奏太は超能力など……」


「うん。でも、D.S.Pは能力者だけじゃない。超能力のない隊員だっていっぱいいる」


「「……!」」


「しかも奏太は……どうも普通じゃないらしいんだ。 人間じゃない、バケモノ的なすごく珍しい……」


「……あ゛⁉︎」


「今はどうしようもない、なまけたダラダラ人間だけど、本当はバケモノ級の変人で……」


「おいっ……今なんてっ!」
「奏太! 少し静かにっ!」


「もうちょっと心さえ良かったら、奏太の心さえ悪くなかったら……」


「おまえなあっ!」
「……奏太っ!!」


「……だってアニキ……」


「言葉のままを受け取るんじゃありません! もっと推察するのです! 美空が何を言いたいのかを!」


「……っっ……」


奏太は言葉をかみ殺す。


「……フン!」


スネたようにそっぽを向いた。


「……ハァ。 仕方ありませんね……」


なだめるように一樹は奏太と手をつなぐ。


「……⁉︎」


「ほら、美空も」


あたしとも軽く手をつなぐと、


〈 “ 奏太には分かりやすく、わたしが同時進行で説明しましょう。美空は構わず先程の続きを話して下さい ” 〉


心の声で話し始めた。

一樹を真ん中に直線になったあたしたち。
< 566 / 795 >

この作品をシェア

pagetop