SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

「これからは一樹とずっと一緒! 奏太も正義の味方のヒーローになるんだ!」


「……あ?」


「奏太の敵は一般社会にもういない! パワーアップしたら悪いやつらを倒しに行くんだ!」


「……ああ??」


「奏太の事は一樹が守る! 奏太は一樹を守るんだ! D.S.Pで二人はきっと……ううん、絶対いいパートナーになる!」


「……んだよ、訳わかんねえ……」

すると、


「……奏太……」


一樹が静かに口を開いた。


「よく、聞いて下さい。わたしのいるD.S.Pでは、超能力者を相手に闘わねばなりません」


「……え、 ……ああ、」


「今まであなたが相手にしてきた暴走族やヤクザとは訳が違います。 いくら腕に覚えがあっても、今のままではとても太刀打ち出来ないでしょう……」


「…………」


「ですから、まずは厳しい特訓を受けてもらわねばなりません。体づくりはもちろんの事、銃の扱い方や能力者との戦い方など、ありとあらゆる戦術を……」


「…………」


「それを踏まえてあなたに言います。
これから先、あなたの力をD.S.Pに注いでは頂けませんか……

共に闘って欲しいのです。わたしと、そして、わたしの大切な仲間たちの為に。

一人前になるまで……いえ、これからはずっと、わたしがあなたをサポートしますから……」


「……アニキ……」


少し見つめ合った後、


「何でもやる。やってやるよ」


奏太はスイッと視線を外す。


「D.S.Pに行けばアニキと一緒にいれんだろ?」


照れたようにそう言った。


「ええ、そうですね」


一樹はふわっと優しく微笑む。

すでに離れた奏太の手を、一樹は堅く結び直した。


「……⁉︎」


また二人だけの世界。

なにか心で話してるのか、表情だけがコロコロ変わる。

あったかくて、くすぐったい

そんな気持ちが二人の心に溢れていた……

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