SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
……ふう。
役目が終わり、右手のしるしがサッと消える。
あたしはぼんやり空を見上げた。
————10月……
あたしにはある変化が起きていた。
しるしが、能力者にも反応をみせるようになったのだ。
泥棒や事故など、今までの一般社会の事件に加え、能力者との闘いも今は余儀なくされていた。
——ビュル……
もうすっかり秋の風があたしの温度を下げてゆく。
体より、急に心が冷えこんだ……
「……はあ〜、」
胸に広がるモヤモヤ感。
重い気分に支配され、あたしは身動き出来なくなる。
こんなに気持ちが沈むのは、やっぱり季節が秋だから……?
あたしにとって秋は特別。
秋は変化……
動き出す秋……
秋は、全てを狂わせる……