SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「あっ、おかえりなさいませ!」
「ミクう〜!!」
「おかえり美空!」
「ただいま」
「……ちは」
後ろから透がヒョイと顔を出す。
「……あ、透くん! いらっしゃい!」
「オウ〜! 来たなトオル〜!! んじゃ〜さっそくオマエに紹介するぜエ〜♪
このウルトラスペシャルかわい〜やつがココに一緒に住む事になったサヤだ! オマエも仲良くしてやってくれぃ♪」
黒木は満面の笑みを浮かべて言った。
「……どうも」
「はじめまして! ……あの?」
「サヤ、こいつは一ノ瀬透。指揮官の息子なんだ」
「え⁉︎ まあ! そうでしたの!」
驚いたようにサヤは口元に手をあてた。
「あの、わたくし指揮官には大変お世話になっております。わたくしのようなふつつか者にも指揮官は熱心にご指導して下さって……」
「……え、ああ、」
「サヤ、そんなにかしこまらなくてもいいのよ?」
「いえ! 指揮官のご子息とあらば、ちゃんとご挨拶しなくては!
わたくし、指揮官の皆をまとめる統率力、采配にはとても感服致しております!
日頃からすごくすごく尊敬してるんですっ!」
——ガシッ!
興奮気味にサヤは透の手をとった。
「……っ⁉︎」
透を見上げる大きな瞳はとてもキラキラ輝いている。
「サヤ〜? いくら透くんがイケメンだからってそんなに迫っちゃビックリするでしょ?」
「……あっ、ごめんなさいっ! わたくしそんなつもりはっ……」
手を離し、サヤは頬を赤くした。
「……いやっ、 その……」
「トオル〜っ! おまえサヤに手え出したら分かってンだろなあ〜っ!」
「誠さんっ!」
にぎやかな声がリビングに響いた。