SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

「そいつが言うんだ。人の良し悪しは最初の第一印象でほぼ分かるってな……」


「……っ⁉︎」


「直感っつーのか……だいたいのソレは当たってるらしい。親しくなればそんな直感、みんなうやむやになっちまうが……

疎遠になる結局の理由が、最初の印象通りだったって……そんなのはよくある話だ」


「……っ⁉︎」


「実際、オレはまだおまえとは親しくねえし、直感だけで言うが……何か違和感があるんだよな。おまえ見てるとどっか偽ってるような気が……」


「……っ……それは偏見ですわっ！　わたくしは何も偽ってなどおりません！」


「……本当にそうか？」


「そうですわっ！　お疑いなら美空さまにもお聞きになってみてください！」


……？

二人の視線があたしに移る。


「美空さま？　わたくしはわたくしのままですわよね？　何ひとつ、偽ってなどおりませんわよね？」


何か訴えかけるその瞳……


「……うん。サヤはサヤのままだ」


あたしはコクンと頷いた。


「ほら、美空さまだってこのように……」


「…………」


眉をひそめ、透は少し黙り込む。

そのうち、


「……やっぱりオレの思い過ごしか？」


そう言うと、ハア〜と深くため息をついた。


「……悪かったな、変なこと言って。　どうやらオレはまだ人を見る目がないらしい」


「いいえ、どうかお気になさらずに。間違いは誰にでもありますから……」


「じゃあ、オレは帰るわ」


気まずそうに透がクルッと背を向ける。

素早くそこから立ち去った……


「…………」


だんだん遠ざかるその背中……


「なんなの！　指揮官の息子だからって偉そうに！」


サヤは不機嫌そうにつぶやいた。